密かに感じていたコンプレックス
フリーになりたての頃、私のまわりには個性の強い人たちがたくさんいました。
今でももちろん個性の強い人たちはまわりにいるのですが、
今はそれが気にならない。
でも、フリーになりたての頃は、個性の強い人たちのことが気になって気になってしかたかなった。正確に言えば、そんな人たちに対してコンプレックスを感じていました。
勘違いしていた。
個性の強い人たちに比べて、私のなんと平凡なことか。
彼らのそばにいると、自分の平凡さを思い知らされる感覚があったんですね、当時は。今になってみれば、なんとバカバカしい話です。
当時をふりかえると、そもそも「個性が強い」ということを勘違いしていたふしがあったように思います。
毒舌をはく人、横柄な態度の人、物怖じしない人、自信満々の人、奇をてらってる人、そんな人を個性が強いと勘違いしていたんです。バカですねぇ。ほんとうにバカでした。
開き直り。
いつだったか、そんなバカげた勘違いをしていることにフッと気づいた時から、長年感じていたコンプレックスにたいして開き直ることができました。
個性がないとは言わないけれど、個性が弱い自分も含めて自分なんだという開き直りができたというか、そんな自分を許せるような気持ちになりました。
まあね、どんなにあがいても、自分以上にはなれませんから。
個性的でなくてもいいや、みたいな開き直りだったのかもしれません(笑)
気づかないうちに育つ個性
ところがです。
あるときに、なにげに人から言われました。
「○○○さん(私のこと)のつくる企画書って、○○○さんっぽい」って。
自分では気づかないうちに、私がつくるものには、人からみた私らしさみたいなものが醸し出されるようになっていたわけです。
これが個性なんだ!!と目からウロコが落ちた感じがしました。
いつだったか、伝統芸能の御大のお話を伺った時に、
「若い人が個性個性というけれど、まずは基本の型(カタ)を身につけ、真似て真似て真似ていく。その先に自然と出てくるものが個性なんだ」といったようなお話をされていました。
「学ぶは真似るから」という言葉もありますよね。型を真似る先に育っていくものが個性なんですね。
コツコツと自分のすべきことを腐らず、焦らず、丁寧に積み重ねていけばいいんだ!!そう思えたとき、少し道が開けたような気がしました。
こんなんでいいんだ
一時期なぜか、フリーランスの私に会いたいという大学生や若い女性が立て続けに登場した時期がありました。プチ起業とか、女性の起業が流行るうんと前の話です。今はそんなことはないかもしれませんが、当時、フリーランスや起業ということを意識していた若い女の人、少なくとも私の前に現れたそういう人は、どうも肩に力が入っていたような、物怖じしない、自分に自信があるような女の人でした。
そんな人はきっと、フリーランスで仕事をしている私のことを肩パットの入ったスーツを着たようなキャリアウーマンのようなイメージを持っていたのかもしれません(今だと、平野ノラかっ!!みたいな笑)
でも、目の前に現れた私は、そんなイメージとは真逆で、きっと肩透かしだったのだと思います、お目にかかった女の人の一人はおもわず「こんなんでいいんだ」とつぶやいたしまつです(苦笑)
こんなのでいいんです。
私はあなたになれないけど、あなたは私にもなれないから。
焦ることはない、個性はあとからついてくる。私の道を大切に丁寧に真面目に面白くしていこう、そのうちきっと私なりの味が出てくるはずだから。今は、そんなふうに思っています。